*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

それでも沙霧が不安そうな顔をしているので、疾風は「それにな……」と、密か事を打ち明けるような調子になった。






「俺も、玉梓と一緒になってから知ったんだがな」





「………うん? なんだい」






沙霧が眉を上げて、少し背の高い疾風を見上げる。






「………女というのはな。


実は、すごく強いものなんだだよ」






疾風はきっぱりと言って、にっと笑った。




沙霧は意外そうに目を丸くする。






沙霧の身近にいた女性といえば、母の康子と、疾風の母親であり自分の乳母であった春風、そして身の回りの世話をしてくれる数人の女房や、細々とした仕事を受けもっていた侍女たちくらいのものだった。





彼女たちのことを思い浮かべると、『女は強い』という疾風の言葉は、沙霧にとっては、にわかには信じがたいものなのだ。