*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

「本当に、沙霧は心配性だな。


だがな、取り越し苦労ばかりしていると、お前のほうが参ってしまうぞ。


お前ふうにことわざを用いて言えば、気で気を病む、というやつだな」






「むう………」






「大丈夫だよ、子どもなんて、もとは自然の中で産み落とされるものじゃないか」






「まぁ、それはそうだが………」






「それに、ここまで来て忘れ物に気づいたところで、こんな時間になってしまえば、買いに戻るわけにもいかんしなぁ」






「明日また行けばいい」







沙霧が平然と言うと、疾風は「俺は嫌だよ」と顔をしかめた。







「今日だけでたくさんだ、俺は疲れたよ。


都はやはり遠すぎる。


しかも、明日以降は雪がひどくなりそうだしな」






「そうか………」







沙霧は諦めたように頷いた。







「お前は余計なことは考えずに、雪道を無事に歩くことだけ考えていればいい。


ほれ、そこ、柔らかい雪だぞ。


つまずかないよう、気をつけろ」







「あぁ………」