*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

胸の真ん中に、ぽっかりと大きな風穴が空いたような、虚ろな気持ち。





ーーーこの気持ちは、なんと呼べばいいのだろう。




どういう言葉で、表せばいいのだろう。







人がそれをどう呼ぶのかは知らなかったが、一人で暮らしていたときも、その気持ち自体を知らなかったわけではないような気もする。





ただ、その気持ちは、沙霧と出会ったことで、そして、沙霧が導いてくれた新たな出会いを経たことで、泡雪の中で、ありありと形を成すようになった気がする。







(…………暗くなってきたな。



そろそろ、戻ってくる頃だろうか)







泡雪は、言葉に出来ない気持ちを胸の奥底に抑え込むようにして、ふらりと立ち上がる。





そして、櫛を握りしめたまま、雪の降りしきる外へと、ゆっくりと足を踏み出した。