*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

そして、少し唇を噛み、沙霧の目をじっと見つめる。






「ん? どうした、泡雪」






泡雪が口を開いた。






「…………お前は、自分の子どもが、欲しいと思うのか」






「…………へっ?」






またもや予想もしないことを訊ねられ、沙霧が目を見開く。





泡雪は何も言わず、ただ沙霧の答えを待っていた。





沙霧は少し困ったように頭を掻き、考えながら答える。






「………うーん、そうだなぁ。


そりゃあいつかは、自分の子どもが生まれたら嬉しいだろうけどね。


でも、今はまだそんなことは考えられないというか、実感が湧かないなぁ」






「……………」







泡雪は無言で沙霧を見上げた。





どうしたものか、と沙霧は戸惑う。







(………いったいなんでまた、泡雪はこんなことを言い出したのやら………)