「いや………助けてくれて、ありがとう。


本当に、助かったよ。



あのまま雪に埋もれて、凍え死ぬのだろうと思っていた………」






「……………」






感謝の言葉を述べても、少女は表情がひとつ変えなかった。





もとどおりに白くなった長い髪の奥から、深い瞳でじっと沙霧の顔を窺っている。





近くで見ると、少女はますます美しかった。





雪の雫を集めたような、きらきらと輝く真っ白な髪。



切れ長の瞳と、高く通った鼻筋、薄く紅い唇。



身体の中を流れる血の色が透けそうなほどに白い肌。



華奢なつくりの首筋や肩。





薄手の真っ白な単から出ている華奢な手も足も、手袋や沓を身につけていなかったが、寒風に晒されて赤みを帯びることもなく、ただただ白かった。







「ーーーーー君は、いったい………」






無意識のうちに、沙霧の足は少女に歩み寄ろうとしていた。







しかし。