*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

「泡雪………あなた、変わったわね」






玉梓が目を瞬かせながら呟くと、泡雪はそうか?と首を傾げる。






「変わった、というか………。



きっと、心の中は変わっていないわね。


ただ、これまでは内に秘めていた思いを、そのまま口に出すようになったのね」






「ふぅん………」







泡雪は他人事のように応える。



本人にはさして自覚もないようだった。






玉梓が沙霧をちらりと見上げると、沙霧は同意するように力強く頷いて微笑んだ。







「きっと、沙霧のおかげね。


あなたは自分の思いを言葉にするのがとても上手いもの」





「そうだろうか?」





「ええ、そうよ。


変に照れたり、気負ったりすることなく、思いのままを口にするの。


あなたのそういうところが白縫党の皆に信頼される理由だし、口数の少なかった泡雪のことを変えたんだと思うわ」







沙霧はふむ、と頷く。







「自分では、あまりよく分からないなぁ。


………でも、わたしと共にいることで泡雪が変わったのだとしたら、それはとても嬉しいことだ」








沙霧は優しく目許を緩め、泡雪を見つめた。