強い視線に射止められたようになって、沙霧は息を呑んだ。





浮遊する身体を自分の意志で動かすことも諦め、されるがままになる。






宙に浮かぶ沙霧に向かって、少女はすっと手を伸ばし、掌を返す仕草をした。





すると、その動きに反応したように、沙霧の身体がすぅっと昇り始めた。




ゆっくりと昇り続け、雪穴から出る高さまで上がると、少女は今度は手招きの仕草をする。




沙霧の身体は糸を手繰られた操り人形のように、少女のほうへと近づいていく。





少女がふっと手を下ろすと、沙霧はひっそりと着地した。





沓の裏に柔らかい雪の感触を確かめながら、沙霧はゆっくり目を上げ、少女の顔の上に視線をとめる。







じっと見ていると、赤く燃え上がっていた少女の髪が、今度は毛先から白く透き通りはじめた。







「…………驚いた」







何も言わない少女に対し、沙霧はそっと言葉をかけた。