*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

「何を探しているんだ?」






泡雪はちらりと一瞥してから、聞こえないほどに小さな声で答える。






「…………沙霧」







予想通りの答えに、男は苦笑して林の奥のほうを指差した。







「沙霧なら、向こうで玉梓の手伝いをしてたぞ」






「…………そうか」






泡雪はすぐに踵を返した。





薄着一枚で裸足のまま、冷たい雪の上を小走りに行く後ろ姿を見送りながら、男たちは溜め息を合わせる。







「…………泡雪ときたら、まったく、沙霧ばっかりだもんなぁ」






「ほんと、四六時中あいつの後ろをついて回って、手を出す隙もありゃしない」






「沙霧は妻でも何でもない、なんて言っちゃいるが、実際、俺たちの出る幕なんてないさ」






「そうそう、沙霧に敵うわけないぞ、すっぱり諦めな」






「お前もな」






「ははは」







男たちは一様に苦笑いを浮かべ、杯をかちりと合わせた。