*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

男たちのもとから離れると、隣を歩く泡雪を見下ろして、沙霧はにこやかに言った。






「泡雪、彼らがこれから共に生活する人たちだよ。


気さくで話しやすい連中だっただろう?」






「……………うるさかった」






正直な感想に、沙霧はぷっと噴き出す。






「ははは、確かにそうだなぁ。


わたしも最初に彼らと会ったときは、多少驚いたものだよ。



なにせ、宮中にはあんなふうに大声で喋ったり笑ったりする者はいなかったからね」






「………宮中?」






耳慣れない言葉に、泡雪が首を傾げる。




沙霧は頷いて、「わたしが住んでいたところだよ」と教えた。







「………ここに移り住んでからは、ずいぶんと環境が変わって、慣れないことも多かったが。



みな、分け隔て無く接してくれるし、なにより、住めば都、と言うからね。


泡雪もすぐに馴染むに違いないよ」







泡雪がこくりと頷く。







「ん………うるさかったけど、べつに、嫌ではなかった」






沙霧はほっとしたように笑った。