*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

「…………こんな真っ白な髪、初めて見たよ」






一番の大男である鏑木(かぶらぎ)は、心を奪われたようにゆっくりと腰を上げ泡雪の前に立った。





屈強な身体つきの鏑木に見下ろされた泡雪はびくりと肩を震わせ、沙霧の背後に隠れるように一歩さがった。




沙霧はその手を掴み、安心させるように強く握り締める。






「年寄りの白髪とは全然ちがう。


真っ白で、つやつやしてるな。


なんて不思議な色なんだ………」







それを合図にしたように、男たちがわらわらと近づいてきた。





取り込まれる形になり、泡雪は眉根を寄せて沙霧の背中に張り付いた。





沙霧はくすりと笑い、「大丈夫だよ、泡雪」と声をかける。






「みんな、優しい人たちだよ。


新しく仲間になる君のことが気になるんだよ。


それに、君はとってもきれいだからね」







流れるように言った沙霧の言葉に、一同、目を丸くする。







空気が固まったのを感じて、沙霧は「え?」と首を傾げた。







「どうかしたかい、みんな」





「いや………沙霧、お前ってすごい奴だな………」





「え、なにが?」





「そんな歯の浮くような台詞を、さらりと言ってのけるとは」





「全く驚きだ、まさに天然ものの女たらしだなぁ」









訳が分からず目をぱちぱちと瞬かせる沙霧に、男たちがどっと一斉に笑い出した。






突然の大音量に泡雪はまたもや肩を竦めていた。