*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

泡雪はその様子をじっと見ていたが、唐突に口を開いた。







「………別に、気にしていない。


山にいれば、よくあることだ。



大した怪我でもなかったから、もういいんだ」







「…………そうか」








沙霧は無意識に手を伸ばして、泡雪の髪に触れようとした。





泡雪は微かに首を動かし、沙霧の手を迎え入れる。






柔らかく撫でられると、泡雪は目許を緩めてほぅ、と息を吐いた。






「…………少し寝るといい、泡雪。


わたしはずっとここで、君が眠りにつくまで、見守っているから」






「……………」






泡雪は安心したように頷き、ゆっくりと目を閉じる。





沙霧が撫で続けていると、すぐに安らかな寝息を立てはじめた。