*
「―――――ん………」
柔らかな何かが頬に触れたのを感じ、沙霧は身じろぎをして目を開けた。
仰向いたままで、二度ほど、ぼんやりと瞬く。
すでに夜は明け、新しい雪に反射した清々しい朝の光が、洞窟の中いっぱいに満ちていた。
頬を掠めたものの正体を知ろうと、ゆっくりと視線を巡らす。
右隣に顔を向けた瞬間、すぐ目の前に、密に生えそろった真っ白な睫毛が見えた。
「……………泡雪。
どうして、ここに………」
小さく独りごちたが、耳に届いたらしく、泡雪の瞼がぴくりと震え、琥珀に透ける瞳が現れた。
「泡雪、いつの間にここに来たんだい」
「………別に、なんとなく、気づいたら、ここにいた」
泡雪はまっすぐに沙霧の瞳を見つめ返した。



