*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

雪雲に覆われた微かな月明かりの中、夜着を幾重にも重ねて眠る姿。






泡雪は目を細め、足音を忍ばせてゆっくりと近づく。





傍らに腰を下ろすと、沙霧の瞼が小さく震え、微かな吐息が唇から洩れた。






その様子を、泡雪の琥珀の瞳がじっと見つめる。






積もった雪に粉雪の舞い落ちる音と、沙霧の寝息の音が、泡雪の耳を湿らせる。





時を忘れるような時間が流れる。






泡雪は微動だにせずにじっと沙霧の顔を見つめ続けた。





しばらくすると、夢うつつに気配を察したのか、沙霧の瞼がうっすらと開く。






朧ろな月明かりを背にした黒い人影をとらえた沙霧は、無意識のうちに手を伸ばした。




そして、膝の上に置かれた泡雪の手に手を載せる。






いたわるように優しく撫でられて、泡雪は心地よさそうに目を細めた。






痛みが薄らいでいくのを感じて、泡雪はゆっくりと、沙霧の隣に身を横たえる。






沙霧の指が泡雪の頭を撫でると、泡雪は安心したように瞼を下ろした。