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夜半、丸まって眠っていた泡雪は、ふいに瞼を上げた。
虚ろに開いた瞳で床をじっと眺める。
脚の傷が痛んで目が覚めたらしいことに気づいた。
塞がりかけた傷の奥のほうがじくじくと痛み、思わず眉根を寄せる。
いつものくせで視線を巡らせるが、探し求める姿はそこにはなかった。
泡雪はゆっくりと上半身を起こし、座ったままでぼんやりと洞窟の入り口を見る。
夜目のきく泡雪の瞳に、夜闇の中でしんしんと降る細かい粉雪が映った。
痛みに顔を歪めながら立ち上がり、洞窟から脱け出す。
裸足のままで雪の上を歩き、昼間に教えられた通りに進んで、目的の洞窟の前に辿り着いた。
足を止めて耳を澄ますと、しっとりとした静寂の中に、安らかな寝息が聞こえる。
泡雪は足を踏み出した。



