*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

沙霧はゆったりと目を細め、柔らかい声で囁く。







「わたしはね、こう思っているんだよ。



君と、ここで………家族のように、いつまでもずっと、一緒に暮らしていけたら、と………」






「……………家族?」







泡雪は眉を上げ、呟くように訊き返した。







「………よく、分からない」







少し唇を尖らせて唸る。





その仕草を見て、沙霧はふっと微笑んだ。







「…………そうだなぁ、家族っていうのは、ね。



側にいるのが当たり前で………もし何か困ったことがあれば、自然に互いに助け合うのが当たり前で」






「……………」






「たとえば、もし今の泡雪のように怪我をしてしまって、動くのが難しい時には、遠慮することなく頼み事をすればいい。



そういう関係のことだよ」






「……………」







泡雪は答えなかった。