*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語








「ーーーさあ、泡雪。


入っておいで」







沙霧に住処として与えられている洞窟から数十歩。





誰も住んでいない、少し小さめの洞窟。





その中に、沙霧は泡雪を導き入れた。





泡雪は少し険しい顔をしてふんふんと鼻を鳴らし、中の様子を確認してから足を踏み入れる。






「狭いので不便かも知れないが………」






申し訳なさそうに言った沙霧をちらりと見て、泡雪が小さく口を開く。






「………別に、困ることはない。


狐の姿になれば、広すぎるくらいだ」






すると沙霧が、泡雪の手を軽く握った。






「…………なぁ、泡雪」





「…………?」





「君は、別に狐の姿にならなくても生きていけるのだろう?」





「………ん」






泡雪が答えると、沙霧は真剣な面持ちでその瞳をじっと見つめた。






「それなら、これからは、なるべく人の姿でいるようにしておくれ」





「…………なぜ」






泡雪は首を傾げた。