*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

沙霧が泡雪を連れて立ち去った後、疾風はふぅ、と溜め息をついて壁にもたれた。






「…………しかし、驚いたなぁ」






「ええ、驚いたわ」







玉梓も大きく頷く。







「ーーー泡雪というのは、一体なにものなんだろう。


あんなに白い娘は、見たこともない」






「本当に………髪も、肌も、抜けるように白かったわ」






「…………もしかして。


あれが、沙霧の言っていた雪鬼か?」






「え? 雪鬼?」







首を傾げて訊き返した玉梓に、疾風は頷きかける。







「あぁ………沙霧が言っていたんだ。



この山にあいつが来た時のことだよ。


雪壺にはまって動けなくなっていたところを、雪鬼に助けられたんだと」






「まぁ………」






常人ならざる容姿を思えば、沙霧が『雪鬼』と表現したのも頷けた。








「ーーーーーでも」







玉梓がにこりと笑う。







「確かに不思議な見た目をしていたし、少し無口だけど………泡雪はとっても素直な可愛らしい子ね」






「あぁ、そうだな」







頷いた疾風は、玉梓の肩を抱く。







「沙霧は昔から、人を見る目があった。


泡雪もきっと、すぐにここに馴染むことだろう」







「えぇ、きっとそうよ………」