*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

二人のやりとりを黙って見ていた疾風が、口を開く。






「泡雪」




「……………」






泡雪は黙って顔を上げた。






「俺は疾風というんだ。


こっちは、妻の玉梓」






「……………ふぅん」






泡雪は疾風と玉梓を見比べた。





そして、玉梓の腹部に視線をとめる。







「……………腹に子がいるのか」







独り言のように言った泡雪の言葉に、玉梓が笑みを浮かべる。






「そうよ。もうすぐ産み月なの」





「……………」





「触ってみる?」





「……………」






黙って答えない泡雪の手を、玉梓はそっと取る。




そして、膨らんだ腹に導いた。






恐る恐る手を当てた泡雪が、「あ」と小さく声を上げた。







「ふふ、動いたわね」





「……………うん。すごい」







素直に頷いた泡雪を見て、疾風と玉梓は目を合わせた。