それから数日間、沙霧は付きっきりで泡雪の介抱をした。




白縫山の仲間の中で分配される食料のうち、自分に与えられたものを洞窟まで持ち帰り、泡雪に分け与えた。





泡雪の回復は早かった。



人ならぬ力のせいなのか、治癒力が常人とは比べものにならないようだった。





二日目の朝になると目を開け、すっかり意識を取り戻していた。




その夜には食べ物が喉を通るようになり、食べ終えると満足気に息をついて再びぐっすり眠った。




三日目に包帯を外すと、驚いたことに、傷は塞がりかけていた。






四日目、泡雪の容態が落ち着いてきたので、沙霧は少し気が抜けて、壁にもたれてうとうとと転寝をしていた。





それを琥珀の瞳でじっと見ていた泡雪が、「おい」と声をかける。






沙霧は初め、何の音なのか分からず、目を覚ましてもしばらくぼうっとしていた。




すると泡雪は、苛ついたように眉を顰めて続けた。






「………起きろ、沙霧。



私は喉が渇いたんだ」