南へ向かう一本道を進んでいくと、小さな洞窟が目に入った。
「………失礼いたします」
遠慮がちに挨拶をすると、しばらく経ってから、訝し気な面持ちの老人が中から現れた。
その名の通り、口許が隠れて見えないほどの立派な白髭を生やした老人だった。
沙霧は姿勢を正してぺこりと頭を下げる。
「突然お邪魔して申し訳ありません。
無礼を承知でお伺いしますが、貴方が白髭さんと仰る御仁でしょうか」
白縫山では到底耳にすることも目にすることもないような物言いと物腰に、老人は目を丸くする。
「…………あぁ、そうだが。
しかしあんた、えらく丁寧な口をきくじゃないか。
見ない顔だが、一体どこのどいつだい」
「あっ、申し遅れまして誠に申し訳ございません。
わたしは、沙霧と申す者です。
先頃、昔馴染みの疾風を頼って、都からこの白縫山に参りました。
こちらにお世話になっているというのに、ご挨拶が遅れてしまい、たいへん失礼いたしました」
沙霧は再び、丁重に頭を下げた。
「………失礼いたします」
遠慮がちに挨拶をすると、しばらく経ってから、訝し気な面持ちの老人が中から現れた。
その名の通り、口許が隠れて見えないほどの立派な白髭を生やした老人だった。
沙霧は姿勢を正してぺこりと頭を下げる。
「突然お邪魔して申し訳ありません。
無礼を承知でお伺いしますが、貴方が白髭さんと仰る御仁でしょうか」
白縫山では到底耳にすることも目にすることもないような物言いと物腰に、老人は目を丸くする。
「…………あぁ、そうだが。
しかしあんた、えらく丁寧な口をきくじゃないか。
見ない顔だが、一体どこのどいつだい」
「あっ、申し遅れまして誠に申し訳ございません。
わたしは、沙霧と申す者です。
先頃、昔馴染みの疾風を頼って、都からこの白縫山に参りました。
こちらにお世話になっているというのに、ご挨拶が遅れてしまい、たいへん失礼いたしました」
沙霧は再び、丁重に頭を下げた。



