「あぁ、わたしもそろそろ仕事に連れて行ってくれないかなぁ、疾風は」






沙霧が言うと、氷見が肩を竦める。






「そうは言ってもな。


お前は仮にも帝の御子だろ。


貴族の邸に盗みに入ったりして、万が一にもばれたらえらいことだろうが」






「それもそうだが………。



でも、わたしが皇子だったのは、もう過去のことだよ。


わたしは早く、この山の一員として皆と同じように働きたいんだよ。



働かざる者食うべからず、と言うじゃないか。


今のままでは、わたしはなんだか肩身が狭いような気がするんだ」






「あっ、出た出た、沙霧のことわざ!!」







真櫂が可笑しそうにくくっと笑った。