*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

牡丹の花のように粒の大きな雪が、激しい風に流されて視界を真っ白に塗り替えていく。







(ーーーーー寒い。



ひどく寒い……………)






沙霧は朦朧とする意識を保つことができない。




雪の降り積もった笠が重く、たえきれずにふらりと頭を揺らす。






そして、ゆっくりと顔を雪の中に埋めた。







(………こんなところで、わたしは死ぬのかーーー)







これまでの短い人生を振り返ろうとしたが、朦朧とした頭では何も考えられなかった。






(……………もう、だめだ………)








冷え切った身体から吐き出した小さな吐息は、もはや白くもならなかった。





柔らかい雪に頬をつけたまま、一面の雪原を見渡す。




その瞳は、すでに焦点を失っていた。