「もう一個、
いい話をしてあげるわ。」

「えっ!!」


嫌な汗が滴り落ちた。


「座ってちょうだい。」

「な、何でしょうか。」

「婚約者について。」


雅は堂々としていた。


美怜は身体が硬直していた。


(嫌だ。その話は
もう聞きたくない!!)


「あのね、私は優輝の
婚約者だって話したわよね?」

「…はい」


すでに心の奥がスキンと痛みを感じていた。


「でも以前は
和輝様の婚約者だったわ。」

「えっ!!!」




ここから運命はさらに加速していくんだ。


私達の運命は少しずつ歯車が噛み合わなくなっていった。




雅は経緯を丁寧に話し始めた。

嬉しそうに…。



「でも、いきなり
優輝の婚約者になったの。
嬉しかったわ。
昔から大好きだったもの。」


私達の出会いは運命だと言うように眼を輝かせて暗黙に訴えていた。


『だから優輝を取らないで』と…。