「あなたたちが謝ることはないわ」


「い、いえ」


「その、お怪我はありませんか」


「ええ。大丈夫よ。そうだ、練習風景を見学させていただいてもかまわないかしら」



満面の笑顔で彼女は言った。


その笑顔が無邪気すぎて可愛らしかった。



「かまいませんが、すごく下手なのでお見せ出来るようなものでは…」


「いいの。私ね、努力している人を見るの大好きなのよ」



なんて、すごく笑顔で言われてしまっては断ることは出来なかった。


だから練習に集中することにした。


そんな事言われるなんて本当に良い人としか言えない。


でも少し、すごく天然な人だななんて思いもした。


曲が優雅に流れ始める。


ワルツを踊っていると…



「んー、顔が強張っているわ。そして肩に変な力が入ってしまっているわね」



そのまま、満月は1人でワルツを踊ってくれた。


その姿はあの天然で無邪気な笑顔の人とは思えないほど凛々しくて美しかった。



「白鳥様、
ありがとうございます」



2人して頭を下げた。