「…入って」




そう言われて顔をあげる。




わたしうつむいてたんだ、なんて顔をあげてから気づいたりして。



どれだけ自分の世界に入っていたのかと恥ずかしくなる。





そう言ってる時点でもう自分の世界に入ってるし…



私ははぁ、とため息をついて足を進める。




「…あっ」




中に入ったとたんにした懐かしい匂い



胸がドキドキして、でもなんだか切なくてそれなのに安心する




匂いでわかるなんて、わたしよっぽどここが好きだったんだ…




「…図書室って独特の匂いするよな」




後ろから入ってきた黒瀬くんの言葉に心臓が跳ねる





…同じこと、考えてた