「ハル。もうすぐ、着くよ」
カナの声に起こされて、でも、わたしの頭は半分眠っていて、
カナは、
「ここで、お姫様抱っこは、さすがにダメでしょ」
って、つぶやきながら、わたしの身体を支えて立たせ、それから、わたしの手をひいた。
カナに手をひかれて、電車を降りて、
ゆっくりゆっくり歩いて、
改札を出ると、迎えの車が来ていた。
「……あれ? なんで?」
つぶやくと、カナが笑った。
「オレが呼んだからに、決まってるだろ」
ドアを開けてもらって、乗り込んだところまでは、覚えてる。
次に気がついたら、自分の部屋だった。
ママには、こってりと叱られて、
出張から帰ってきたパパが、
「陽菜だって、たまには、ひとりで遊びに行きたいよな」
って、頭をなでてくれた。
机の上には、
「ハル、楽しかったね。次はどこ行く?」
って、カナのメモが残されていた。