「親はともかく、なんで、オレ、誘ってくれなかったの?」



ママ、カナと行くようにって、散々言ってたもんね。



「だって、ハンドクラフト展なんてカナ、つまんないだろうし」



そう答えると、今度は、カナ、深いため息を吐いた。



「あのね、ハル」



カナが真顔でわたしを見る。

わたしもつられて、



「はい」



と真面目に返した。



「男ってのは、好きな女の子の願いは、何でも叶えてあげたいの」



分かる? って聞かれても、分かるような分からないような……。

だってわたしは男じゃないし。



「オレさ、別に動物園も遊園地も映画も、そんな好きってわけじゃないし、

デートの場所にはこだわらないよ?」





「え?」





カナの言葉に、絶句すると、カナがまた、ため息を吐いた。



「ハル、付き合ってる男女が休みの日に一緒に出かけるのを

世間ではデートって言うの」



噛んで含めるように、カナはゆっくりと、わたしの目を見て話す。



「わざわざ休みの日に一人で出かけるな」



カナが拗ねたように言った。



「オレ、学校だけじゃなくて、休みの日にも、ハルと会いたいよ」