カナは、なかなか、わたしの頭を離してくれない。

そして、そのまま、頭から背中に手を下ろし、わたしをぎゅっと抱きしめた。

そのまま、大丈夫、とでも言うように、背中をトントンと何度も叩く。



え……っと。

わたし、迷子になって泣いてる子どもじゃ、ないんだけどな。



「……あの、カナ」

「ん? あ、苦しかった? ゴメン」



何も言ってないのに、カナは我に返って、ようやくわたしを放してくれた。



「あ、ハルん家には、見つけたって連絡しといた。

けど、合流したって連絡はまだだから、しとくか」



わたしの、困ったような顔を見て、カナはクスッと笑った。

それから、電話をポケットから取り出した。



本当は自分でしなきゃいけないんだろうけど、合わせる顔がないというか、何というか……。



見つけたって連絡してくれたなら、きっと、具合が悪そうだったっていうのも、報告されちゃったんだろうし……。



「あ、じいちゃん? ハルと合流したから。おばさんとか沙代さんとかにも伝えて」



え? おじいちゃん?

……ああ、ママはお仕事だし。パパは出張中だから。



「ん? 代わる? ちょっと待って」



差し出された携帯を受け取ると、少しだけ躊躇ってから、電話に出た。