朝食を終えると、今日の洗い物当番である糸萩(イトハギ)、露草を手伝って、汀も器を洗いはじめた。





「まぁ、姫さま。


お手伝いなど頂かなくとも結構ですのに………」





「あら、いいのよ。


やりたくてやってるんだから」






戸惑う露草を汀は笑い飛ばした。



お邪魔虫、などという発想は汀には皆無なのである。






「汀ったら、元気が有り余ってる感じだねえ」






糸萩は可笑しそうに笑いながら、汀と露草が洗った器を受け取って、布で拭いていく。






実際、汀は当番でもないのに洗濯場を覗きにいったり、台所に顔を出して釜の中を覗いたりと、毎日うろちょろしているのである。






いわく、「だって、暇なんだもの!」






どうやら、今まで右大臣邸で大人しくしていた反動で、黙って座っているのも我慢ならないらしい。