*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫









「さ、足も休まったことだし、そろそろ山に戻りましょうか」





檀弓がそう言って立ち上がったとき。



全員が同時に、そのことに気がついた。






「…………汀がいない!?」






藤波は慌てて立ち上がり、店内を見渡す。




しかしもちろん、汀の姿はない。






「いっ、いつの間に………」




「え? いつまでいた!?」




「えーと、たしか、厠に行って………」




「帰って来たわよね!?」




「えっ!? そういえば………」




「………帰って来てないかも」




「うそっ!! 汀さんが厠に行ったのって、ずいぶん前よね!?」




それぞれの会話に夢中になっていたので、誰も気がつかなかったのだ。