*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

その目が、大きく見開かれる。





『…………あ』





呆然としたような青瑞の姫の視線をその身に受けているのは。






「あっ、お頭、こんな所に!」






白鷺と連れ立って息吹を探すついでに、群雲たちをここまで案内してきた、天城であった。






探していた頭領の姿を見つけて、ほっとしたように微笑む大男の姿を、青瑞の姫がじっと凝視している。





不思議に思った汀が見ていると、消えかけていたはずの身体の輪郭が、みるみるうちにくっきりとしていくのが分かった。






「…………え。あれ?」






汀の呟きを耳にして、灯も青瑞の姫を見る。







「…………濃くなっているな」







青瑞の姫の視線を追った二人の目は、天城に行き当たる。






「…………え?」






遠慮なく注がれる眼差しを感じて、天城はくるりと振り向いた。