静かに青瑞の姫と向き合う汀の背後で、ずぶ濡れで座り込んだままの灯と、少し離れて佇む息吹が、その後ろ姿を見つめていた。






さわさわと、穏やかな風が吹き抜ける。





青瑞の姫の心が少しずつ鎮まってきているのを、汀は感じた。







「……………あなたは、とっても純粋で、一途で、とってもきれいだわ。



そんな人が、いつまでもこんなところで一人寂しく待ち続けているなんて、あんまり悲しい」






汀の真っ直ぐな言葉が、春風に乗って柔らかく、青瑞の姫に届けられる。







「……………もう、忘れちゃいなさいよ。


あなたの素晴らしさが、あなたの美しさが、分からないような男なんて」






『………………』






青瑞の姫はゆっくりと瞬きを繰り返した。