「俺は今さっき青羽山から降りて来たところなんだ」






「そうか、やっぱり青羽山にいたのか………」






群雲は小さく頷き、隣に座る黒松に目を向けた。




黒松も応えるように頷いてみせる。






「黒松の聞き込みで、一応目星はついていたんだ。


東の市、青瑞の姫の占い処でひと騒動あって、白縫山の火影童子が青羽山の盗賊に捕らわれて連れて行かれたとかなんとか」





「あぁ………その噂は正しいよ」






藤波は力なく首を振った。






「しかし、なぁ。


本当かどうかも分からんのに、白縫党が、しかも首領の俺が青羽山に乗り込んで行ったら、どうなることか。


もしも噂が偽りだったら、白縫と青羽の戦にもなりかねん。


そう考えて、さてどうしたものかと話し合っていたところなんだ」






群雲はふぅ、と溜め息を洩らした。