*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

一瞬動きを止めて考えていた汀は、唐突にばっと立ち上がり、自分の着ている着物の襟に手をかけた。





するりと肩を脱ぎ、慌てた手つきで帯を解きながら、足下に転がっている息吹の肩を軽く蹴る。







「ちょっと息吹っ、のんきに寝てる場合じゃないわよ!


起きて、起きてったら!!」







軽く蹴っても起きないので、今度は思いっきり頭を足蹴にした。







「………ぐっ、な、なんだ!?」







あまりの痛みにはっと目を覚ました息吹は、目の前で迷いなく着物を脱いでいく汀を見て、目を白黒させた。







「えっ!? あ、ど、どういう………」






「蘇芳丸が大変なのっ!!


すぐに助けなきゃ………っ!!」