*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

汀を投げた灯は、その反動で青瑞の姫のほうへ落ちそうになる。




すぐに体勢を立て直し、自らも泉の外へと逃れようとしたのだが。






『ーーーーー逃がすまじっ!!』






逆らうこともできないまま、再び青瑞の姫の髪に捕らわれてしまった。








「…………っ!!」







青白い腕が灯の身体をきつく抱きしめ、灯はそのまま泉の中に引き込まれていく。







「ーーーーー蘇芳丸っ!!」






よろりと起き上がった汀は、ごぼごぼと水中に沈んでいく灯を見て、ざっと蒼ざめて叫んだ。







(………んまぁ、どうしましょう!?



このままじゃ、蘇芳丸が死んじゃう………っ!!)