*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

青瑞の姫はそっと目を閉じた。






『……………だが、返事は来なかったーーーーー。



あの人は、私の想いの深さを思い知って、苦しみのあまり筆さえもとれなかったに違いない…………』







汀と灯は再び囁き合う。







(幼い頃に愛を誓ったって………それ、逆に言えば、子どものころの可愛らしい口約束よね)






(あぁ、男のほうは、覚えてもいないのだろうな)






(でも、青瑞の姫はそれをいつまでも信じていて…………)






(しかしまぁ、よくもそこまで思い込めたものだな)






(その人のことが本当に好きだったのね)







汀は少し青瑞の姫がかわいそうになってきた。





しかし、なんといっても実害があるので、かわいそうだからといって言いなりになるわけにもいかないのだ。