灯に肘で突つかれて、汀はちらりと青瑞の姫を見た。
「…………あのぉ、一言いいですか」
汀が遠慮がちに声をかけると、青瑞の姫はぎろりと睨みつけてきた。
『まだ話は終わっていない!
口を挟んでくるな!!』
「あっ、はいっ、すみません!」
あまりの剣幕に、汀は思わずぱっと口を閉じた。
『ーーーあの人が妻を娶ってしまって、私は抜け殻のような日々を送っていた。
あまりにも私の悲しみと失意が深いのを見て、女房たちが、一度だけでも私の想いをつづった恋文を送ってみてはどうか、と言った。
それで私は、文を書いた。
私は確かに高貴な姫だが、正妻でなくても気にはしない。
見苦しい嫉妬などは決してしないから、私も妻にしてほしい、と。
あの人ほどの身分であれば、正妻の他に幾人もの妻を持っていても当然。
むしろ、箔が付いて男ぶりも上がるというものだ。
だから私は、第二の妻の地位に甘んじてでも、どうしてもあの人に、思いのままに私のもとへと通ってきて欲しかった。
私はあの人を取り戻したかった。
なんせ私たちは、幼い頃より愛を誓い合った仲なのだから………』
「…………あのぉ、一言いいですか」
汀が遠慮がちに声をかけると、青瑞の姫はぎろりと睨みつけてきた。
『まだ話は終わっていない!
口を挟んでくるな!!』
「あっ、はいっ、すみません!」
あまりの剣幕に、汀は思わずぱっと口を閉じた。
『ーーーあの人が妻を娶ってしまって、私は抜け殻のような日々を送っていた。
あまりにも私の悲しみと失意が深いのを見て、女房たちが、一度だけでも私の想いをつづった恋文を送ってみてはどうか、と言った。
それで私は、文を書いた。
私は確かに高貴な姫だが、正妻でなくても気にはしない。
見苦しい嫉妬などは決してしないから、私も妻にしてほしい、と。
あの人ほどの身分であれば、正妻の他に幾人もの妻を持っていても当然。
むしろ、箔が付いて男ぶりも上がるというものだ。
だから私は、第二の妻の地位に甘んじてでも、どうしてもあの人に、思いのままに私のもとへと通ってきて欲しかった。
私はあの人を取り戻したかった。
なんせ私たちは、幼い頃より愛を誓い合った仲なのだから………』



