*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

そして、青瑞の姫に聞こえないようにぼそぼそと小声で言い合う。






(……………ね、それって)





(……………あぁ)





(その人は、別に幸せなふりをしていたわけじゃなくって)





(そうだろうな)





(青瑞の姫とはただの従兄妹どうしで、その人は成人して好きな人と結婚したから、疎遠になっちゃっただけなんじゃ)






(…………相手も自分を好きだと思い込んでいたんだろうな………)






(やっぱりそうよねぇ)






(…………お前、教えてやれよ、それは勘違いだって)






(む、無理よ! あの人、いくら言っても聞く耳なんて持たなそうじゃない)






(お前と似たようなもんだろう)






(えぇっ!?)






(勝手な思い込みの激しさ、人の忠告を聞かない頑固さ、そっくりだ)






(えっ、私ってあんなふうなの!?)






(そうだよ、いつもお前に振り回されてる俺たちの大変さを分かれ)






(そんな無茶な)






(ほら、似た者同士、お前が説得しろ)