*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

しかし、その優しかった空気が突如、ざわりと不穏なものに変わった。







『ーーーーーそれなのにっ!!』







青瑞の姫の声も、突然悲愴なものになる。







『………私たちの想いは、家族によって引き裂かれてしまった!!



あの人が元服を迎える齢になった頃、なぜか急に、あの人の訪れが途絶えた。


私は不思議に思ってはいたものの、元服して正式に朝廷に出られるようになって忙しいのだろう、と思っていた。



文も何度か送ってみたが、たった一度だけ来た返事はなんともつれないもので、それ以来なんの音沙汰もない。



一体どうしたことか、と物思いに耽っていたら…………』







いつの間にか話に引き込まれていた汀は、ごくりと喉を鳴らした。