考えた末、すばらしい言い訳を汀は思いついた。




そして、晴れ晴れとした笑顔で叫ぶ。







「ーーーーーあのっ!!



あの人は、犬なんですっ!!」






『……………は?』







青瑞の姫はぴたりと動きを止めた。





まんまと引っかかってくれたと思い、汀は心の中でにやりとほくそ笑む。







「あの人ってね、私の飼い犬なんです、ああ見えても。



それで、さっきのはですね、私に抱きついていたわけじゃなくて。


ただ、飼い主である私に構ってほしくて、じゃれついてきてただけなんですよ」






『………………』






「あの子ったら、もうほんとに、私にとってもよく懐いていて。


私のことが好きすぎて、ああやってすぐに、遊んで遊んで、ってまとわりついてくるんですよ。



ほんと、いつまでも甘えん坊で困っちゃうわぁ〜〜あいたっ!!」






調子良く嘘八百を並べていた汀の頭に、容赦なく拳骨が降ってきた。