背後で灯と息吹がもめている間、汀はなんとか青瑞の姫を鎮めようと必死になっていた。






「あのっ、聞いてください!!」





『…………なんだ』






青瑞の姫はざわざわと髪をうごめかしつつ、いちおう汀の言葉に耳を向けた。




汀はにへらと笑顔を作り、ご機嫌をとろうとする。






「あの人ーーー蘇芳丸っていうんですけど、別に私、いちゃいちゃしていたわけじゃないんです!!」






青瑞の姫は不機嫌そうに眉をぴくりと震わせた。






『………していたじゃないか。



わざわざ私に見えるように、泉の淵で抱き合っていただろう!』






「違います、それは誤解です!」






『………誤解なものか。


この目でしかと見たぞ、私は』






「いえ、えーと、あのぉ………」






青瑞の姫の怒りがおさまる気配はない。