*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

女は汀の手首を掴んだまま、ゆっくりと二人に目を向ける。






『…………私の目の前で、いちゃいちゃするな、と言っただろう………』






ざわり、と女の髪が蠢く。




それに呼応するように、泉の周りの樹々がざわざわと枝葉を揺らしはじめた。





さらに、ついさっきまで黄金色に輝いていた太陽が、不意に現れた厚い雲におおわれて、一気に辺りが暗くなる。






「…………まぁ、なんてこと………」






汀は呆然と周囲を見渡した。





そして、再び女に目を戻す。






「これ、あなたがやっているんですか………?」






『…………そうさ。


私は青瑞の姫ーーーこの泉の守り神。


だから、泉の恩恵を受けている植物や動物は、みな私の思うままに動く………』







青瑞の姫は低く唸るように笑った。




そして、言葉通り、植物たちがいっせいに動き出した。