*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

灯が怒鳴った、その時。







『…………私を無視するな………』







「…………えっ!?」







地の底から這い出すような声が聞こえ、汀と灯は動きを止めた。







『…………私の前で、いちゃいちゃするな………』







不気味な声は、こぽこぽと湧き出す泉の泡から生まれているように聞こえた。





二人の視線が泉の中の青白い手に戻る。






手の奥のほうから、ざわざわと、藻のようなものが蠢きながら上がってくるのが見えた。







「…………えっ。


あれ、髪の毛………?」






「……………」






汀は本能的に手を引き抜こうとしたが、ぴくりとも動かなかった。