*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

汀がふふんと笑うので、灯は溜め息を吐きながら考えを巡らせる。






(馬はいくらなんでも危ない。


落馬したらしゃれにならない。


骨折か、悪くすれば頭を打って………。



それならば、包丁のほうにしておくか?



………いや、しかし………包丁こそ危険すぎる。


骨折は時が経てば治るが、指がちょん切れたらもう終わりだ。



あー、やはり、馬のほうか………。


まぁ、馬なら、俺が近くで見ていれば、いざという時には助けられるしな………)






あらゆる最悪の展開を考えあげた上で、灯はゆっくりと顔を上げた。





きらめく青い瞳を覗き込み、低く呟く。






「…………四半刻だけだぞ」





「やったぁっ!!」






汀は溢れるような笑みを浮かべた。