「ねぇ、蘇芳丸」




「……………」




「ねぇねぇ、蘇芳丸」




「……………」




「ねぇってば〜〜」




「……………」






頑なに顔を背ける灯に、汀はじりじりとにじり寄った。






「蘇芳丸! なんで無視するの!?」






汀が不服そうに言うが、灯は険しい表情のままだんまりを決め込んでいた。






(………あぁ、なんだか、初めの頃に戻ったみたい………)






そう思うと、なんだか汀は嬉しくなってきた。






「…………ふふふ」






不気味な笑い声を洩らした汀が、がばっと灯に抱きついた。






「〜〜〜〜〜お前っ!!」






灯は額に青筋を立てて、汀の頭をつかんだ。







「この流れで、なぜ抱きつく!?」





「だって、なんだか、懐かしくって、嬉しくなっちゃったんだもの!!」





「はぁっ!? 阿呆か!!」