汀は誤魔化すようにあははと笑い、灯の肩をばんっと叩いた。






「いえ、ほら、だって、ねえ?


せっかく噂の火影童子を捕らえたんだから、すぐに放しちゃうのはもったいないじゃない?」






「…………そりゃまぁ、そうだが」






「それにほら、この人、身軽だから、使いようによってはとっても便利よ!


ぜひ青羽山に連れていきましょう!!」






「………まぁ、そんなに言うなら………」







という流れで、理由もないままに灯は青羽山に連れ去られることになってしまった。





灯はもはや何も言う気になれず、淀んだ目で汀を見上げている。




その後ろで、この成り行きをただ見守るしかなかった藤波は、とりつくろうように灯に手を上げた。