公衆の面前で恥をかかされ、 息吹は怒りに蒼ざめた顔で灯を睨みつけた。






「…………許さんっ!!


この俺様に、このような屈辱………っ!!



許さんぞ、火影童子っ!!


覚えてろよ、山に戻ったらどうなるか、覚悟しておけ!!」






怒鳴りちらしている息吹に向かって、汀は頬を膨らませた。






「んまぁ、息吹ったら、何を言うの!


そんなのだめよ、あなたがこの人を痛めつける理由なんて何にもないじゃない。


それじゃ、ただのひがみよ!!」






痛い所を突かれた息吹が、ぐっと唇を噛む。







「…………ひっ、ひがみだと?


この俺様が、誰かをねたんだりひがんだりすることが、あるものか!!」






「あら、じゃぁ、蘇芳丸をひどい目に遭わせたりはしないわよね?


こんな人、別にあなたにとっては敵でも何でもないんだから」






「…………そりゃそうだ。


まぁ、賞金首になっている男だからな、捕らえて連れては行くが」






「それは別にいいわよ。


ただ、蘇芳丸を賞金首として検非違使に突き出したりしたら、それは約束違反ですからね?


私が占い処で稼いだお金は、ぜーんぶ私が持って行っちゃうわよ」






「…………ぐっ」







息吹の誇り高さと金好きを存分に理解し利用した汀の巧みな弁舌に、息吹は言葉を詰まらせた。