「俺様は青羽山の盗賊の頭領だ!!


名は息吹!!



来世までこの名を胸に刻んでおけよ!!


ははははは!!」







周囲でことの成り行きを見守っていた老若男女は、怪訝そうな表情で息吹を見ながらぼそぼそと話し合う。






「青羽山に盗賊なんていたのかい」




「さぁ、知らないねぇ」




「俺はちらっと聞いたことがあるなぁ」




「でも盗賊といったらやっぱり白縫山だよねぇ」




「そうだよそうだよ」






そんな会話が耳に入り、息吹はわなわなと肩を震わせた。







「…………なんだとぉ!?


その白縫山で最も強くて身軽だと言われている火影童子が、あっけなく俺様の手で捕らわれたのだぞ!!



これからは青羽山の世だ!!


白縫山の時代は終わったのだ!!」







高らかな言葉に、人々は眉根を寄せて顔を見合わせる。







「とは言うものの、ねぇ」




「そうだよ、あの男が自力で捕まえたわけじゃないもんねぇ」




「そうだ、俺は見てたぞ、あのちっこい娘が、勇敢にも火影童子につかみかかったんだ!」




「そうだそうだ、青羽山の息吹は大したことのない奴だ!!」