*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

「………お前、なにを………っ!」






目を丸くして驚いている灯の左右を、大勢の人々が駆け抜けていく。






「どこっ、どこにいるの!?」




「光源氏がいるんだと!?」






さすがの灯も、それを避ける術もなく、人波に呑まれるしかなかった。







(………ちっ! 光源氏だと!?


ふざけやがって………!!



なぜ皆、そんな大嘘を信じるんだ!?)







灯は必死に人の流れに抗い、抜け出そうとする。




その腕を、誰かがひしっと掴んだ。






「……………っ!?」






灯が驚いて見下ろすと。







「ーーーふふふ。つーかまえた!」





「…………汀!?」







嬉しそうに笑みを浮かべた汀が、灯の腰にしっかりとしがみついていた。