*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

往来の真ん中に飛び出した灯は、目にも留まらぬ速さで駆け抜け、息吹と天城の手を身軽によける。




痺れを切らした天城がとうとう飛びかかったが、灯はひょいと跳び上がって逃れた。





それを見ている人々は、やんややんやと歓声を上げる。






「きゃあっ、すてき!!」




「おおっ、さすが火影童子!!」




「噂には聞いていたが、本当に、なんとも身軽なものじゃ!」






拍手喝采を一身に受ける灯を見て、息吹が悔しそうに顔を歪める。






「…………くそっ、火影童子め!


この美しい俺様を差し置いて、人々の注目を集めるなど、なんと腹立たしいっ!」





息吹は天城の肩を掴み、険しい表情で告げた。






「天城、あいつをなんとしてでも捕らえて、恥をかかせてやるのだ!」





「は、はいっ!!」





「これは、青羽山と白縫山の、名誉をかけた闘いだぞ!


ここで火影童子を打ち負かして、都の民たちに青羽山の凄さを知らせるのだ!」